「21世紀の浄土真宗を考える会」ブログ(アーカイブ)

親鸞会除名後、多くの方に浄土真宗を伝え2012年7月にご往生された近藤智史氏のブログ

顕正新聞を読んで

2009/10/15(木)

浄土真宗親鸞会発行の顕正新聞(平成21年10月15日号)の論説を読む機会がありました。
題は“「雑行」が分からぬのはなぜか”
“朝晩拝読する『聖人一流章』には「もろもろの雑行をなげすてて」とあるが、浄土真宗の人たちは雑行が何やら全く知らない。”
という書き出しです。
全文を載せると長くなりますので、抜粋します。
A 仏教は後生の一大事に始まり、その解決で終わる。
B 釈迦は四十五年間、弥陀の本願一つ説かれた。
C 弥陀の本願に合せるのが目的だった釈尊は、四十五年間の説法ほとんどを、後生の一大事を知らせるためになされている。
D 釈迦が弥陀の願意に従って、まず一切経ほぼ全巻を費やして教えたのが「因果の道理」である。「仏教の根幹」と言われる。
E 「善因善果 悪因悪果 自因自果」の道理は三世を貫くから、現在の種まき(因)を見れば、来世の果報の善悪も分かると仰せだ。
F 一生造悪の自己を徹見すれば、後生に恐ろしい結果が惹起することは必定だ。この一大事に驚けば必ず、悪をやめ善をしようと「廃悪修善」の心が起きる。ここで初めて「雑行」がでてくるのだ。
G 信仰が進んで後生が問題になった人でなければ、自力も雑行も分からず、雑行が廃って助かることもあるはずがない。
H 捨てよと言われる「雑行」を知るには、まず後生の一大事を知らねばならないのだ。これが仏法の出発点である。

釈尊は何を説かれたのか】
これについては、
B 釈迦は四十五年間、弥陀の本願一つ説かれた。
C 弥陀の本願に合せるのが目的だった釈尊は、四十五年間の説法ほとんどを、後生の一大事を知らせるためになされている。
D 釈迦が弥陀の願意に従って、まず一切経ほぼ全巻を費やして教えたのが「因果の道理」である。「仏教の根幹」と言われる。
の3箇所に書かれています。
文章上では無理やり関連性があるように書かれていますが、では結局釈尊が説かれたのは何ですか?と聞かれたら困りますよね。

親鸞会会員の求道】
親鸞会の人たちの「求道」とはこのようなものでしょう。
1.三世因果の道理を聞く
2.一生造悪の自己を徹見する
3.後生に恐ろしい結果が惹起すること(後生の一大事)に驚く←ここが出発点
4.廃悪修善の気持ちが起きる
5.雑行を知る←これが本論説のテーマ
6.後生の一大事の解決?
(このプロセスには阿弥陀仏の本願がないのですね。特にFの文の中に出てきていません。後述します。4から5へいきなり飛んでいます。6は書かれていません)

会員は自分の心に問うでしょう。
・一生造悪の自己を徹見できているかどうか
・後生に恐ろしい結果が惹起することヘの驚きがあるか
・廃悪修善の気持ちがあるか
・雑行が問題になっているか
はじめの3つは、私たちは煩悩具足ですからあるかどうかと言われると、たいていは「ない」「あっても少ない」と思いますよ。
4番目の雑行は阿弥陀仏の本願に向いていないので、問題になるはずがありません。

ということで、結局1の因果の道理のところで止まってしまっているのです。
言葉を換えますと、会員は親鸞会の言う出発点を求めていることになるのですが、いつまでたっても、その出発点にはたどり着かないのです。
(それが本当に出発点かどうかは今は問題にしていません)
無限ループに入ってしまっていますね。
そして「私はこれだけ一所懸命やっているんだ」ということに安心満足を求めるのでしょう。

【最大の問題点】
この論説の問題点は、Fの文です。
もう一度ここにあげます。

F 一生造悪の自己を徹見すれば、後生に恐ろしい結果が惹起することは必定だ。この一大事に驚けば必ず、悪をやめ善をしようと「廃悪修善」の心が起きる。ここで初めて「雑行」がでてくるのだ。

・「一生造悪の自己を徹見する」「後生に驚く」「廃悪修善の気持ちが起きる」という私たちの三業(特に意業)、別の言葉で言えば感情に依存することを重要なポイントとしている。
阿弥陀仏の本願が全く出ていないのに、いきなり雑行が出てくると書かれている。

上述したように、結局「因果の道理」(親鸞会の言う「因果の道理」)に戻ることになり、南無阿弥陀仏に向いていませんので、阿弥陀仏の救いにあずかることはかなり困難です。

【その他の問題】
1.これまでの親鸞会の理論で言うと、一生造悪の自己を徹見した時に救われるのではなかっただろうか。
2.同じく、自力は他力に入らねば分からないと主張したこともあったが、それについては如何。
3.「信仰が進む」と「後生が問題になる」を同じ意味または関係あるものとして使っている。
  仏法を聞かなくても後生を問題にしている人はいるが、この使い方でいいのか。
などがあげられます。